鍼灸治療とは…

+鍼灸ってなあに?
鍼灸(『しんきゅう』or『はりきゅう』)は、鍼(はり)と灸(きゅう)を併せた言葉です。
鍼灸治療をする人を鍼灸師(『しんきゅうし』or『はりきゅうし』)といいます。
鍼専門ならはり師、灸専門ならきゅう師といいます。


+鍼と灸は一緒にするの?
鍼を主とし、灸を補助的治療とする治療院が多いことは確かですが、鍼と灸が、かならずしも一緒の治療というわけではありません。
鍼、灸にそれぞれ特有の治療効果があります。
鍼は主に気を動かすことを得意とする道具であるため、全身の気のバランスを整え、免疫機能などの自然治癒力や生命力を強化するのに適しています。
これに対し、灸は患部への局所的な調整に用いられることが多く、また、冷え性などの改善に効果的な温熱作用に加え、炎症を抑える鎮静効果を持ち合わせているのも特徴です。


+鍼灸ってどんな治療なの?
鍼灸は、鍼や灸で体のツボに働きかけ、からだ全体の気血の巡りを整えることで人間が本来もっている自然治癒力や免疫力を高め、疾病を治癒に導く療法です。
道具としては鍼治療専用のごく細い鍼を使用し、灸は蓬(よもぎ)の葉から精製した艾(もぐさ)を使用します。古代中国を源流とし、日本に伝来して千年以上の歴史をもつ伝統医学です。


+鍼灸と按摩や指圧、マッサージとの違いは?
鍼灸が、鍼や灸を用いて調子を整える療法とすれば、按摩は、手で押して(按)撫でて(摩)調子を整える療法といえます。
身体の中心から末梢に向かって揉みほぐしてゆくことで筋肉の硬結を取り除き、筋組織の血液循環を回復させ、疾病を回復に導くのが目的です。
指圧は按摩の按技法(押圧法)を日本で独自に発展させた療法で、神経や筋肉の機能を調節するのが目的です。
マッサージは、西洋近代医学の領域です。弾力に乏しく循環力の弱い構造をもつ静脈やリンパ管に働きかけ、動脈によって身体の末端組織まで行き渡った血液やリンパ液を末梢から心臓に戻るように促す療法です。


+鍼灸って資格がいるんでしょ?
鍼灸師は国家資格です。国家資格としては他に柔道整復師(ほねつぎ、整骨などを行う)、あん摩・マッサージ・指圧師などがあります。
鍼灸師の資格をとるには、文部科学省の認定した学校または厚生労働省の認定した養成校に3年以上通い、必要な知識と技能を習得した上で、厚生労働省の実施する国家試験に合格する必要があります。
からだのバランスを整えるという共通点からか、整体師と比較される場合がありますが、整体は民間資格に分類されるため、施術方法から資格認定条件まで施術者によってまちまちといえます。カイロプラクティック、足ツボマッサージ、リフレクソロジー、アロマセラピーなども同様に民間資格です。


+鍼灸のあう人とあわない人がいるの?
「鍼の効く人と効かない人」「鍼のあう人とあわない人」・・そういう話題を耳にすることがあります。
症状の程度や年齢差、あるいは、発症部位の違いによる治療効果の現れ方、速度に多少の差はありますが、基本的に鍼灸治療があわないという人はいらっしゃいません。
鍼灸の根本は、身体のバランスを整えて、人間が本来持っている自然治癒力や免疫力を高めることですから、だれにでも有効な治療といえます。


+自然治癒力とか免疫力をつけるのって、時間がかかりそう。痛いところを早く治せないの?
鍼灸治療には、本治法と標治法という2つの治療法があります。
一般的には、急性症には標治法、慢性症には本治法が効くと考えられていますが、実際は二つが相互に作用することで、からだにとって最も適切な治癒をもたらしています。
今ある痛みを軽減し、疾病を取り除くことは、自然治癒力や免疫力の強化によってもたらされる結果なのです。
患者さんの症状や体質によって、効果の現れ方には個人差がありますが、じゃぱん鍼灸りらく院では、本治法と標治法を併用し、その相乗効果によって、急性症、慢性症疾患の両方に治療効果をあげております。


+治療後の入浴はだいじょうぶ?
基本的には問題ありません。
ただし、炎症が起きている場合など、症状によっては入浴を控えなければならないこともありますので、その際には鍼灸師がご説明いたします。


+ 治療後にお酒を飲んでもだいじょうぶ?
普段よりもお酒がおいしく感じられ、早く酔いがまわってしまうかもしれません。
治療効果に影響が生じるということはありませんが、できれば避けていただいたほうがいいかと思います。
ただし、治療前の飲酒は避けてください。脉診をはじめとして、正確な診察が困難となります。


+ 症状が重い場合には、鍼の本数もふえるの?
症状の重さと鍼の本数は関係ありません。
鍼の本数が治療効果を左右するものでもありません。むしろ「最少のツボで最大の効果」をあげる技こそが、本治法にかかわる鍼灸師の腕の見せどころなのです。


+普通はどれくらい通えばいいの?
症状や発症部位によります。
急性の場合は数日間集中的に来院していただく場合もありますが、通常は毎週または隔週で来院されることをお勧めしております。
最近、「未病(みびょう)」を耳になさる方もいらっしゃるでしょう。「病気になる前の状態」という意味ですが、病気になってから治すのではなく、定期的な治療で病気を予防することのほうが大切という東洋医学の独特の考え方といえます。


+鍼って痛いんじゃないの?
通常つかわれる鍼は豪鍼(ごうしん)といって、髪の毛ほどの細さ(0.12mm〜0.22mm、注射針の5〜10分の1)の金属鍼です。
その鍼先は、日本の鍼職人の伝統の技がつくりだしたもので、刺入時に痛みを伴わない形に改良されています。
また、刺入用の特殊な管を用いる管鍼法(かんしんほう)という鍼の刺し方があります。鍼の先端処理の技術と管鍼法によって、鍼治療は痛さを伴わない治療となっています。


+ 鍼で感染する心配はないの?
患者さんおひとりに対し、治療毎に新しい鍼を用いる『使い捨て(ディスポーザブル)方式』を採用しております。
施術直前に、エチレンオキサイドガスであらかじめ滅菌済みの鍼の封を切って使用いたします。
これまで、数々の患者さんに施術をしてまいりましたが、感染事例はございません。今後も万全の態勢で臨みます。


+ ツボってなあに?
ツボを経穴(けいけつ)といいます。
東洋医学では、生命活動を司るエネルギー体(気血)が全身を流れていると考え、その通路を経絡(けいらく)と呼んでいます。
経穴は、経絡上の重要な中継点で、からだの内と外との交流点であるとされています。ここが鍼灸治療の診察ポイントであり、また治療ポイントにもなるのです。


+ ツボってさわるとわかるの?
ツボは生きています。ツボは、体調が良好な状態では、あまり反応がみられませんが、不調な箇所があると、経絡を通じてからだの表面に変化が現れます。
この変化が出やすいポイントがツボです。鍼灸をする上で大事なのは、変化のあるツボを探すことです。変化のないツボを施術しても効果はありません。
ツボは、陥下、硬結、温度変化、発汗など様々な反応をみせます。その反応はかすかなものですが、鍼灸師の手と指はそれらの変化をつぶさに読み取っていきます。


+ 神経に鍼を刺しているんじゃないの?
患者さんから「神経に鍼を刺しているの?」というご質問をいただきますが、神経に直接鍼を刺しているわけではありません。
皮膚の表面に浅く鍼をした場合でも、からだ全体に気の流れを感じたり、胃腸の動きを感じる患者さんもいらっしゃいます。
このように、鍼灸治療は、経絡やツボを介して、神経へ直接刺激を与えることなく、からだの免疫系や自律神経系などに働きかける効果があるのです。


+ 『気』ってなに?
古代の中国人は、目には見えないながら、この自然界における全存在の源であり、「ものを生み出す-動かす-壊す」といった一連の現象を引き起こすエネルギーを『気』となづけました。
そして、自然界の一部である人間の体もまた『気』によって形成され、『気』が人体の生命活動を維持する働きを司っていると考えたのです。
「病気」は「病んだ気」という意味です。
からだ中を絶えず動くエネルギー体である気が滞ることで病にかかります。
また、「病いは気のもちよう」といわれるように、気が病めばからだに不調として現れます。鍼灸では、こころとからだを繋ぐ『気』の調整をおこなってゆくのです。


+ 『血』(けつ)ってなに?
東洋医学では、経絡を流れ、からだの生命活動を司るエネルギー体のことを『気血』(きけつ)と呼んでいます。
『気血』は常に連動して働くため、ひと括りとみなされることが多いのですが、厳密には、『気』が目に見えず、形を持たないエネルギー体であるのに対し、『血』は『気』から生まれ実体を持つものとして区別されています。
パソコンにたとえるなら、『気』がソフトで『血』がハードといったところでしょうか。また、『血』は西洋医学でいうところの血液と同ではなく、身体を構成し、統制する一要素としてより大きな意味で捉えられているのです。